産婦人科医
東 哲徳氏
渋谷区産婦人科医会会長・東京思春期保健研究会会長・東クリニック院長・厚生労働大臣表彰受賞
こんにゃく米について
近年、ダイエットの手段としてこんにゃく含有の食品が利用されています。
特にお米と併用した製品が出されており、保存食としても認められ災害時の食料としても期待されています。
こんにゃくはカルシウムや食物繊維を多く含んでおり、消化器に優しい働きをもたらすと同時にいわゆる腹持ちのいい状態を作りますので満腹感が持続しダイエット効果に有用です。お米と併用することによってカロリーや糖質の制限が可能になります。お米をアルファー化(添加物を使用せず炊き立てのご飯を急速乾燥)したものと、乾燥こんにゃくの両方の特質を生かしたのが誕生しました。
妊婦さんはホルモン(プロゲステロン)の多量分泌によって腸の動きが悪化し、また、子宮が大きくなることによって消化管が圧迫され吸収不良を生じ、硬便、便秘の原因となることがあります。硬い便は妊婦さんに起こりやすい「痔」を誘発することがあります。一般的な下剤を大量に服用すると流産や早産の原因になることがあります。悪阻(つわり)が無くなると過食になる傾向があり、過剰なカロリー・糖質摂取の原因となり分娩リスクの一因になることがあります。
妊娠中に不足しがちな栄養素は葉酸(胎児の神経管閉鎖障害の発症を防ぎます)・鉄(赤血球を作る成分)・カルシウム等です。
こんにゃく米は食物繊維を多く含んでおり、妊婦さんの便秘解消や食べ過ぎを防ぐ理想的な食生活の一助となります。妊婦さんの体重管理は妊娠高血圧症の予防や産科的異常の軽減に重要な役割があるのです。
こんにゃく米は、単にダイエットや非常時の備蓄フード目的だけではなく、妊娠周産期にも有用な食べ物として今後大きく期待されるものと思います。